6/06/2015

君たちが種をまくんだ!「種まく旅人 くにうみの郷」プレイベントを終えて


シネりん恒例の監督を囲んでの集合写真!

久しぶりのシネりんのプレイベントのスペシャルゲストは篠原哲雄監督の再登場となり嬉しさ倍増でした!監督の新作「種まく旅人 くにうみの郷」(5月30日~)のプレイベント(新宿・竹林閣)に50名近い参加者があり、大いに盛り上がりました。


シネりんのプレイベント?初耳の方のためにちょっとここで解説いたします。
公開を控えた映画の監督などの関係者をお呼びして撮影裏話や製作者サイドからの作品への思いを大いに語ってもらうというイベント。もちろん公開前なのでみなさんが後で見る同作品を楽しめるような形でのトークとなります。
篠原哲雄監督のお話の聞き手は映画ライターの二井康雄さん
ご自身の作品のポスターの前でパチリ!
同作品にご出演された俳優、池田良さんも駆けつけてくださいました!


さて話は戻り、篠原監督の新作についてです。
映画のタイトルに「くにうみの郷」となっていたので何かと調べましたら、いざなぎのみこと(男の神様)といざなみのみこと(女の神様)が最初に作った島が日本のはじまり、その島が淡路島だったということなんですね。学校で習っていたもののその記憶からスッカリ抜け落ちていました。そう、映画の舞台はその淡路島なんです!!

淡路島は海と山両方に囲まれた自然の宝庫の島、瀬戸内海が広がる海では海苔の養殖が盛んです。そして淡路といえば淡路玉ねぎが有名、新玉ねぎの時期にそれを食べると生で食べても甘みが口に広がります。

その玉ねぎ農家の兄と漁業で海苔作りに励む弟、その兄弟二人は父親の死を通し、意思を通わせることないままでいます。そこにアメリカ帰りの農林水産省官僚の(神の恵)神野恵子さんが視察に現れ、この兄弟にからんでくる…。何かが動き始めるのですね!

私はこの作品を見て、特に目を引いたのが海苔を作っているところでした。
篠原監督は日常よく食べる海苔がこんな風に作られていたのか!と海苔作りの工程をこの映画を撮ることで初めて知ったとおっしゃっていました。私もこの映画の中に出てくる海苔作りのシーンは興味深々。手間隙かけて作られているのだと改めて知りました。
そしてあの綺麗な黒い海苔を作るのには海自体に栄養がなければならないことも知りました。

映画の中では弟の三浦貴大さんが勤める漁業組合が出てきます。ここは森漁業という会社で本当に海苔を作っている場所です。監督はここでの撮影秘話を教えてくださいました。撮影の2ヶ月前に助監督が森さんの元を訪れ、撮影に入る前からずっと森漁業のお手伝いをしながら地元の人たちの信用を獲得していきました。撮影中もその助監督さんは時間の合間、地元の人たちと共に漁に出ていたそうです。(笑)
地元のみなさんの絶大なる協力を得、撮影ができたと感謝の意を述べていました。

その森漁業さんのご好意で、映画の海苔を作るシーン、栗山千明さんが海苔をおいしく食べるシーンに登場した同じ海苔をイベントのために送ってきてくださいました。シネりんにご参加した方にお分けしましたが、一気になくなりました!

送られてきた淡路の焼き海苔

こちらは味付け海苔
そしてもうひとつ大事な恵の産物、玉ねぎ―。兄の桐谷健太さんが心血注いで作っている玉ねぎです。私の友人で淡路在住のあやちゃんが畑から取立ての沢山の淡路の玉ねぎを寄付してくださいました。炒めると甘みがますというので塩もこしょうも何もせずに炒めただけの玉ねぎを参加者のみなさんと試食しました。もちろん大好評でした。ポテトサラダ、オニオンスライスにも使用しました!
淡路玉ねぎを炒めただけなのにこのなんとも知れない甘みが広がります!

一つの映画ができるのは、映画製作者はもちろんのこと、淡路の地元の方々など、沢山の人たちのご協力があってのこと、今さらながらそう思います。それを統括する篠原監督はこの作品に強い思い入れがありました。なぜかというと、この映画の録音を担当された山方浩さんがあのネパール大地震でお亡くなりになり、唯一の日本人犠牲者となってしまったからです。

監督はこう述べます。「山方さんは1人の録音技師というよりも大きく映画にかかわってくださった方、本当に偉大な人を亡くしてしまった…」と。
篠原監督は山方さんが最後にかかわったこの作品に深い思い入れを感じずにはいられなかったことでしょう。

また、命を育む第一次産業を活性化したいという思いがこの映画を完成させたのだと思います。いろいろな意味で種をまくことの大切さを痛感させられた作品でした。

この映画について二井さんが書かれたコラムはこちらから